「人ありきの組織論」に心が動く
そんなある時、担当していた営業の仕事を通じて親しくなったあるソフトウエア会社の社長さんに「実は留学したいと思っているんです」と話したことがありました。
すると、その社長さんは海外関係の事業をしている別の会社の社長さんを紹介してくれました。そして、その社長さんに自分の想いを伝えると、今度は留学サポートなどの仕事をしている人を紹介され、その人に会いに行くと「君と同じくらいの年齢の人で、今度留学しようとしている人がいるから会ってみたら?」とまた別の人を紹介されました。
最後に紹介されたその人にさっそく会いに行って話を聞いてみると、アメリカのサンフランシスコにあるCalifornia Institute of Integral Studies (略称:CIIS*)という名前を聞いたこともない大学で、組織開発・変容学(Organizational Development and Transformation)という、これまた聞いたこともない学問をその年の秋から専攻するつもりとのこと。
「それってどんな学問なんですか?」という自分の問いに対し、彼が言った「まず組織ありきの組織論ではなく、まず人ありきの組織論なんだ」という言葉に心の針が振れたのを今でもよく覚えています。その人はその後も折に触れて、その大学でどんな勉強をしているのかを親切に教えてくれました。そして、話を聞けば聞くほど、自分の興味が高まっていくのを感じたのです。
*CIIS・・・1968年にインド人哲学者のハリダス・ショードリ博士によって東洋哲学と西洋哲学を統合するための研究所として設立されたが、のちに大学となった。いわゆる「ニューエイジ系」の大学として知られ、哲学や心理学系の学科を中心に斬新な教育プログラムを提供している。